フィンランドから帰化した青い目のサムライ・ツルネン マルテイさん(75歳) 「健康にはいつも前向きです。毎朝1万歩の散歩を欠かしたことはありません」

サムライ・ツルネン マルテイさんインタビュー1

「青い目の国会議員」として11年半、有機農業推進議員連盟を設立するなど、環境・食糧問題のオーソリティとして活躍したツルネンさん。現在は、妻・幸子さんと共に西鎌倉にあるフィンランドから取り寄せたという木材を使ったログハウスの自宅で、自然に即した生活の中で執筆三昧の毎日を楽しんでいる。

(インタビュー・文:加藤 明/写真:生井 秀樹)

健康な生き方の見本

若い! 会った瞬間にそう思った。75歳には見えない。
「若い頃からこれといった病気がない。ただ、議員になる前頃から、ちょっとした赤信号が出てきました。そこから抜本的に生き方そのものを変えました」
赤信号とは、血圧の上昇、食べ過ぎ飲みすぎによる痛風の発症といったことだった。およそ20年前。赤信号後の、ツルネンさんの生き方、年配者には色々と参考になる。

「このままでは長生きできないかなと、生活態度を改めました。家内の協力も得て有機農法で作られた食材を中心の自然に従う食事に転換し、腹八分目、好きなお酒も飲みすぎぬようにと心がけて。そしてなにより適度な運動を実践するようにしました。いまでも毎日家内と一緒に1万歩以上は歩きます」

さらに、早寝早起きを実践する。

「夜は9時に寝て朝は5時に起きます。そして昼寝もぐっすり15~30分」
そして、かつては暴飲暴食だったという食事に関してもう少し詳しく伺う。
「毎日3食同じ時間に食べます。肉食から魚や大豆製品を中心の食事に変えました。ミルクも豆乳にし、乳製品もあまり摂らなくなりました。スタイルは日本食ですね。世界一の食だと思います。寝る2時間前には食べ終えるようにしています」
73㎏あった体重は、現在63㎏になっているそうだ。

ルオム的生き方の勧め

サムライ・ツルネン マルテイインタビュー2

かつて忙しい議員生活を送られていたが、いまは文筆三昧の毎日だという。
「議員としてポジティブに活動していた時も楽しかった。神に与えられた使命と思っていましたから。いまはゆっくり自分のペースで原稿を書けるのがいいですね。午前中はパソコンの前でずっと書いていますよ」
ツルネンさん、宣教師時代も、議員の頃も、そして今も、自分の使命をずっと考え続けているという。

「何のために日本に来たのか、何のために議員になったのか、何のために原稿を書いているのか、何のために生きるのか……ずっと考えていますよ。議員になるという目標を見つけることで生まれ変わった。目標を持つということが大切ですね」
そうした思考を踏まえて、ツルネンさんはフィンランドの「ルオム的生き方」を実践し、いまはその啓蒙的な活動もされている。

「有機的生き方、という意味です。有機農業などは、自然に従うルオム的生き方の中の一つの側面です。フィンランドも確かに都市化が進んで『ルオム的生き方』という言葉も使われなくなっていますが、それでもフィンランド人の多くは、長い夏休みを自然の中で過ごしますし、自然に戻ろうとします」
日本でも高齢者を中心に古民家ブームなどがあり、自然に帰ろうという動きはある。

ルオム的生き方は、高齢者の方々の健康維持には本当に大切で最適な生き方だと思います」

社会の中で役に立つ、人助けができる、それが幸せの秘訣

ツルネンさんは、こんなことを言う。
「歳を重ねること……無理に、抵抗しないで、自然に任せて生きるのも大切なことですね。体力が落ちるのは当たり前のことですから、抵抗しないで認めて受け入れることです。

そして、定年になって仕事がなくなる、日々どうやって過ごせばいいのかというのも、皆さん考えられるところです。趣味を充実させようと考えたり、スポーツに打ち込んでみたりも良いけれど、ただ自分のためだけに時間やお金を使うのはどうかなと思います。社会の中で何か役に立つ、奉仕できる、周囲の人を助けることができることでないともったいない。幸せの秘訣があるとすれば、どんなに年をとってもどういう形でか、社会や誰かのために役に立つことだと思います。私の文筆活動も、そうした側面があります」

そういえば、昨年9月にフィンランドで出版した著作「青い目のサムライ」が、フィンランドでベストセラーになっているそうだ。
「自叙伝です。サブタイトルは“~フィンランド人の忍耐力で日本の国会へ”です。どうやって日本で活動してきたか、私が見た日本の生活や文化について書いています。今年中には日本でも出版の予定です」

そして、ツルネンさんはこの本を自分のフィンランドに対する「遺言書」であると言う。
どうしても伝えておきたい言葉という意味なのだろう。
ツルネンさんの言葉には、後ろ向きのところがない。
「大事なのは、前向きに現実的に生きるシンプル&ポジティブな生き方」
まさに! それを実践する見本が、目の前のツルネンさんだった!

■弦念 丸呈(ツルネン マルテイ)プロフィール

サムライ・ツルネン マルテイインタビュー3

フィンランド出身の前参議院議員。1940年フィンランド生まれ。1967年に宣教師として日本の土を踏む。1979年には日本に帰化し、英語塾の経営、翻訳活動などをしながら、「日本の社会を見つめ、日本人がやっていない新しい仕事をする、そのために日本に来たのだ」との思いを強くし、やがて1992年に神奈川県湯河原町議会議員選挙に立候補し当選。1995年には参議院議員選挙に立候補するも34万票を獲得しながら次点。以降4度国政選挙に挑戦したがいずれも次点という結果に。ただ2001年の参議院選挙後の2002年、辞職議員に代わり繰り上げ当選となり、2013年まで11年半の間参議院議員として活躍。現在は西鎌倉の自宅で、フィンランド式「ルオム的生活」を実践中。

最新の著作
「フィンランド人が語るリアルライフ 光もあれば影もある」
ツルネン マルテイ著 新評論 2800円(税抜)
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