ヒマつぶしの達人たち 行動派シニア大集合

暇知らずの定年後人生を送るシニアの方々
~一生写真と鉄道をやり続けると豪語した元高校教師

定年後、自分の生活の中心が仕事だったことを改めて意識してしまうことはありませんか。
いつも家でゴロゴロ。テレビを見てばかり。特に趣味もなく、天井を見上げることもしばしば。
暇で暇でしょうがない……しかし中には、定年後もアクティブに、暇知らずの毎日を過ごすシニアもいるのです。

100sai2_tatsujin28-01

写真にすべてを捧げる行動派シニア

今回ご紹介したいそんな行動派シニアは、佐賀県にお住まいのK・Nさん(65歳)
高校の教員として何十年も教鞭を振るってきたKさんは、在任中からとある趣味がありました。

それは「鉄道」と「写真」。
「最初は鉄道趣味からです。十代から続いていまして、それから鉄道写真を撮りたくなってカメラにのめり込んで……あとは一直線でしたね。土門拳などの写真集を見て、よく感嘆したものです」

在任中に、全日制の学校ではなく通信制の高校に転勤となったK先生。当初は愕然としたといいます。
「通信制の高校というと、不良生徒の吹きだまりという印象がありました」
しかし、実際はそんなことはなかったそうです。

「不良と言うよりも、社会から居場所を与えられなかった子たちというか……とにかく、私がなんとかしなければ、という思いがありました」

100sai2_tatsujin28-02

通信制高校の写真部がまさかの大躍進

そこでK先生は、得意の写真知識を活かそうとその学校に写真部を作ります。始めは少しずつ人が集まり、そして人が増えていき、そのうちにK先生の指導の甲斐あって生徒の作品が大会で入賞するようになったのです。

それからは、その写真部は大会の常連になりました。毎年全国大会・九州大会に生徒を派遣するようになり、独自で写真展も開催。K先生のこうした活動で、自分の思わぬ才能を知り美術大学や写真学校への道に進んだ生徒もいました。
しかしそんなK先生にも、定年のときがやってきます。

「正直、これから何をやればいいのか分からなくなった」
とはK先生の弁。今まで教職一本で進んできた道、急に定年と言われても進む先が見えなかった時期が続きました。
100sai2_tatsujin28-03

バラバラになっていてもまた集まれる

そんなK先生に転機が訪れたのは、定年後久しぶりに写真部の教え子と出会って話をしたこと。
そこでK先生は、その教え子の変わらぬ写真への熱意を見て、「今まで巣立っていった生徒も巻き込めるような、大きな写真サークルを作ろう!」と決意。

K先生に教えられ巣立っていった生徒たちは、写真学校に行った者、美術大学に行った者、カメラ屋に就職した者と幅広い層がいます。彼らが今も写真を撮っていることを願い、そして撮っているならまた昔のように繋がって、大きな写真サークルを作ろうとしているのです。

現在は、その下準備を行っているそうです。
そのために、K先生は最新のツールを使いこなす勉強も欠かしません。
Facebookはもちろん、Twitterまで使いこなし、生徒たちと交流を図ります。自分の写真を公開するホームページも自ら作成し、写真をアップ。
愛器のMacintoshは、新しいものが出る度に買い換えてきちんと本で勉強する徹底ぶり。

「やはり時代についていきたい。写真は時代を映す鏡。写真を続ける限りは、自分も時代についていかないと」
そう語るK先生の目には、熱いものがありました。

変わらぬ鉄道への愛


100sai2_tatsujin28-04_2

そしてもちろん、未だに鉄道への愛も失っていません。
ローカル線が廃止されるとなれば、そこまで鉄道旅行して、写真に収める。
何々駅に珍しい電車が来るとなれば、そこまで出向いて写真に収める。

そして行く先行く都道府県に昔の教え子がいるならば、連絡を取って一緒に飲み、語らう。
十代から続く鉄道趣味と、何十年も続く写真趣味。
そこまでアクティブになれる秘訣は一体何なのでしょうか。最後にK先生に伺いました。

「なんと言いますか、情熱でもないんですね。もはや鉄道も写真も私の生活の一部になっていて、それをやっていないと落ち着かない状態なんです。子どもたちには、いい年をして子どもみたい、なんて言われることもありますし、妻も呆れていることがたまにあります。

けれど、子どもの心でいることって凄く大切だと思うんです。子どもの心は、なにも邪さがない純真な状態です。その純真な状態で、何事も楽しんでいきたい。これは何歳になろうと、たとえ身体が動かなくなってもです。身体が動かないなら、パソコンで他人の写真を見ながらあれこれ楽しめるような年の取り方をしたいです」

自分を突き動かすものが“やっていないと落ち着かないから”と自己分析するK先生。
こんなK先生だからこそ、在任中にはたくさんの生徒が先生の後を付いていったのだと思います。

自分の一生を決めてしまうほどの趣味や教養を持つことは、難しいですが素敵なことです。
今回K先生のお話を聞いて、本当にそう感じました。
皆さんも、K先生のように“生涯現役”を目指して行動してみませんか。