百歳万歳マネー教室 
第1回 これからの相続をどうするか?

相続を円滑にする、「遺言相続」

3代に渡って相続をすると、財産が無くなるなどとよく言います。真偽のほどはともかく、「相続」が人生の総仕上げの一つの「大事業」であることは間違いありません。「相続」を円滑にするために必要なこと、心掛けることなど、再確認することにしましょう。

「遺言相続」を考えること

本誌の読者の皆さんは「相続」と言われると、どんなことを考えられるでしょうか?
おそらく、既に「相続する側」、被相続人としての立場をお考えではないでしょうか?
残されたものに、なにを置き土産とするのかということです。

できれば皆に、より多くのものを残してやりたい、奥さんが後々困らないようにしてやりたい、残したものをめぐって諍いが起きなければいいのに……。いろいろなことをお考えになるでしょう。
もしそんなことを考えられているのなら、そうなるようにしてあげればいいのです。
それは意外に簡単なことです。「遺言相続」をすることです。

なぜ「遺言相続」がいいのか?
すでにご存じの方も多いとは思いますが、ここでそのあたりを少し勉強してみることにしましょう。

人が死ねば自然に生ずる「相続」

まず「相続」を受ける側のスタンスで、見てみましょう。
「相続」に関する問題は、税に関する問題でもあり、詳細を語るには専門家の知識・知恵が必要です。
従ってここでは、一般論としての「相続」について見ていきます。

「相続」とは難しく言えば、人が亡くなったときに「被相続人の財産的な地位を、その人の家族など一定の身分関係にある相続人が受け継ぐということ」です。簡単に言えば継承権のある者が「財産(債務も含め)を、引き継ぐ」ということです。その財産のことは「遺産」といいます。 
「相続するものなんてなにもない」と、それこそ何もしない方がいます。ところがこれが結構大変な勘違いなんです。

実は「相続」は、特段の手続や意思表示がなくても、人が死ねば自然と生じるものです。いや、法的に生じてしまうものです。ですから法的に「相続の放棄」「限定承認の手続き」をしない限り、被相続人の借金等の債務も含め、嫌だろうがなんだろうが、全財産を一切引き継ぐことになります。

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民法上、「相続」の方法は二種類あります。「遺言相続」と「法定相続」です。「遺言相続」の方がプライオリティは高く、個人の意志を尊重するという体裁になっています。
「遺言相続」でなければ「法定相続」に移行するわけです。
遺産を継承する権利のある法定相続人は、配偶者か血族と決まっています。ただし、「贈与」として法定相続人以外に遺産を与えることはできます。それも「遺言」することができます。

葬儀から始まる「相続」の手続き

「相続」でもっとも問題になるのは「何をしたらいいのか分からない」ということです。法曹関係のエキスパートにまかせれば済むことですが、残されたものがどんな状況になるのか、少しは知っておいた方が良いでしょう。

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「相続」のために、相続人がすべきことは「葬儀」から始まります。そして以下のことを遺漏なくやるわけです。
①葬儀②市役所への死亡届提出。7日以内(死亡診断書添付)③社会保険の手続き。14日以内④遺言書を探す⑤相続人の確定⑥遺産調査⑦遺産分割協議・調停⑧相続承認・限定承認・相続放棄手続き。3ヶ月以内⑨相続税の申告・納税。10ヶ月以内⑩遺言があり,自身には遺産がなかった場合に遺留分減殺請求。1年以内⑪銀行預金の引き出し・不動産所有権移転登記

これらのほとんどが、自力ではできかねることだらけです。かろうじてできるのは②、④くらいでしょうか。
ことに、残された財産に不動産などが含まれている場合は、「遺言相続」であればそれなりにまとまりますが、法定相続の場合は「分割協議」が難航するのは目に見えています。すんなりとはいきそうもありません。
やはりその道のエキスパートに依頼するしかなさそうです。あるいは、「遺言相続」にするかです。

放っておけば置くほど「相続」問題は膨れ上がる

本誌の4月号に「相続鑑定団」という相続・不動産・建築のプロ集団のインタビューも掲載されています(本誌4月号採録)が、併せてお読みいただければと思います。そこでは、実は「相続」は、被相続者(遺産を残す側)が生前に準備すべきものと言われています。
一般論的には、残された者たちが対処すべき問題のような印象がありますが、そうではないというのです。

なぜかと言えば、残す者にしか財産の実態は把握できないからです。
前の章で相続のためにすべきことをナンバリングして書き記しましたが、その⑥にあたる部分は、普通は調査などに最も時間がかかるように思われます。しかし、残す側がきちんとリスト化しておけば、まったく時間もお金もかかりません。残す側がすべきことは多いのです。ある程度明文化しておけば、急な出来事にも対処できるというわけです。

また、遺言の重要性にも触れています。
「法定相続」で構わないと思われる方も多いのですが、色々な意味で後々に禍根を残さないためにも、遺言での「相続」が望ましいのです。「遺言相続」であれば⑦、⑧、⑩などの手続きも、それほどの労力を必要としないで済むかもしれません。

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「相続」する側であっても、される側であっても、「相続」など自分とは無縁だと思っている方も多いと思いますが、これまで述べた通り、まったくそんなことはないのです。自分の意志とは無関係に発生する「相続」という手続きは、煩雑で、放っておけば置くほど問題は膨れ上がっていくものなのです。
それを防ぐためにも、「遺言相続」という形を是非とも考慮して欲しいと思います。