シニア世代の「強い味方」、「終活」の伝道師!! 岡崎秀也弁護士インタビュー

岡崎秀也弁護士インタビュー

「百歳万歳」本誌上で、3年に渡り「終活」を具体的に語り、読者の理解を深めてこられた岡崎弁護士に、「終活」伝道師としての本音を伺った。

四種の公正証書作成が基本

――岡崎先生の考える「終活」という言葉の意味を教えてください。

岡崎秀也弁護士(以下、岡崎と表記):一般的には「死に仕舞い」、人生の最後を迎えるための準備活動と言った意味合いでとらえているようですが、私はそうではなくて「最後まで活き活き生きるために抑えるべきポイント」、そんな理解の仕方をしています。「終活」は、やらなければいけないことなんですが、何故やらなければいけないのかと言えば「上手に死ぬため」ではないはずなんです。むしろ「活き活き生き抜く」ためです。死期が近づくといろんなことが不安になっていくじゃないですか? あれもやってないこれもやってないと不安を感じますが、その不安材料を早く解決しておけば、最後まで憂いなく活き活きと生き抜いていけると思うんです。私はそう捉えて、皆さんに法律的な側面は勿論、終末医療、介護、葬儀の方法等までその解決法をお伝えしています。

――なぜ「終活」に取り組もうと思われたのか、きっかけを教えてください。

岡崎:はじめは相談に見えた方に頼まれたんです。相談者である女性は、高齢の姉の面倒を見ていたんですけれど自分も歳を取り、施設に入れざるを得なくなるわけです。最初は施設に見舞いに行ってはいたけれど、自分も高齢ですから見舞いに行くのも大変、施設への付け届けも大変、それなのに姉の財産に手を付けているんじゃないかと親族に疑われるはめに。お金のかかることは全部持出で対応していたけれど、これは大変だと。「何とかならないか?」と相談を受けたのがきっかけです。

――具体的にはどんな対応をされるのですか?

岡崎:施設はじめ様ざまな支払いなども請け負うわけですから、結局は財産委託、遺言、尊厳死宣言、死後事務委任などの四つの公正証書作成に至るわけです。この四種類の公正証書作りが、「終活」のベースになることがわかりました。ただ、皆さんこうしたことにお困りなのは見て取れるけれど、なかなか重い腰をあげられません。ご相談はたくさん受けますが、やはり自分が死ぬ時のことを考えるということに、抵抗のある方が多いということかもしれません。独り身の方は真面目に考えられるようですが、僕らの意図がなかなか浸透していかない難しさを感じています。

情報提供ではなく、実際に会うこと

――それでも「終活」は必要なことですよね?

岡崎:そうですね、やはり僕らのような立場の者がお手伝いできることは多いわけです。ですから、なんとか皆さんにアプローチするために各地でカルチャースクールやセミナー開催等も行なっています。それでもなかなか難しい。トータルな「終活」ということではなく、「遺言」など単発のご相談は多いんですが……。

――岡崎先生が「終活」を通して、皆さんに伝えようとされている最重要な要素は何になりますか?

岡崎:活き活きと生きていただきたい、それがまずあります。そのための方法論はきちんと整理しています。おそらく「終活」に関しては、人後に落ちないと自負しています。が、その前に、いまは情報を伝えることが非常に難しい時代だとも思っています。皆さん情報はタダだと思っていますから。どんなに有益な情報でもお金を払おうとまでは思わない。法律情報に対しても同じです。ですから、「終活」情報もとても伝えにくい。情報の価値はゼロと言ってもいい。ところが、実際にお会いすることで状況は一変するんです。仲良くなる、これが基本です。その上で何が伝えられるかといえば、その方が活き活きと生き抜くための、その方に特化した解答ということになります。

いまはまだ啓蒙段階の「終活」

――これから一層高齢化の進む日本では、認知症なども大きな問題になるかとも思いますが?

岡崎:「終活」をしようと考える方は、おそらく健常な方です。健常な状態で「終活」は始まるわけです。公正証書を作成しようと思われる方、覚悟された方が、果たして認知症になるかという疑念はあります。最後まで活き活きと生き抜くと決め、先々の準備を怠らない方。そう意識している方しかご相談に来られないのでは、とも思います。ただ,もし認知症になったとしたら、ご家族と相談しながら後見開始の申し立てを行なったり、別の方策を勘案したりしながら、先に進むしかありません。これも公正証書で決めておきますが。

――「終活」を、今後どのような形で皆さんに伝えていかれるのか、ビジョンがあればお教えください。

岡崎:ご本人というだけでなく、例えばご家族、施設のケアマネージャーなどの職員の方などが理解してくださるようになると、浸透していく可能性は高いですね。そういう方向のアプローチも必要だとは思います。いまはまだ黎明期ということです。

――岡崎先生がご自身で「これだけはやっておきたい」と思われる「終活」はどのようなものですか?

岡崎:さまざま考えますが、遺産分割でもめたときには、自宅を処分して現金で分けなければならないケース,典型的には,夫婦と独立して家庭を持っている子が一人いて、主な資産は自宅のみ、そのような場合、夫がなくなり妻と子の話がまとまらないと、自宅を処分して現金で分けるしかありません。しかし、現金を残しても家賃を支払うとあっという間に目減りします。自宅があれば何とか生活してゆけるケースも多いと思いますので、このようなケースでは、最低,それに配慮した遺言だけは必至と思います。

――今日は貴重なお時間、ありがとうございました。
■岡崎 秀也(おかざき ひでや)プロフィール
岡崎秀也弁護士インタビュー

1985年中央大学法学部卒。1993年弁護士登録。卓照綜合法律事務所に勤務し、特に交通事故、医療事故、労災等の人身、賠償分野をライフワークとし、後に医療過誤訴訟も担当。2011年1月独立、弁護士法人ウィズを立ち上げる。2013年3月相続問題の解決と高齢者の支援を目的とした専門家団体「一般法人相続・高齢者支援機構」を設立。趣味は、マラソン、合気道(2段)。
高精度の離床センサーの啓蒙などにも努める。

弁護士法人ウィズ
http://www.law-with-okazaki.com/
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TEL : 0120-524-589(年中無休/9時~18時対応)

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