『百歳万歳』サポーター発
月1連載エッセイ~「賢く齢を重ねることとは?」
ツルネンマルテイさん

<プロフィール>

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ツルネン マルテイ 文筆家。1940年フィンランド北カレリア生まれ。64年、同国社会福祉カレッジ卒業。67年キリスト教会の宣教師として来日。79年日本に帰化。92年神奈川県湯河原町議会議員に無所属で当選。2002年民主党より参議院議員初当選(通算2期)。14年母国フィンランドにおいて自伝「青い目のサムライ」を出版しベストセラーに。「青い目の国会議員いまだ誕生せず」(ベネッセ)、「日本人になりたい」(祥伝社)など著書多数。

第3回 フィンランド人がルオム農産物を選ぶ12の理由


フィンランドのルオム食品;玉ねぎ、ニンジン、ジャガイモなど

フィンランドで有機食品を促進している団体「Ruokatieto LUOMU」( ルオカティエト ルオム )が発行する小雑誌に、ルオムを選ぶ12の理由が分かりやすく書かれていますので、ここでその概要を紹介したいと思います。

1.ルオム農産物は、自然と人間にとって持続的で健全である。

未来の人間にも自然とその資源の恵みを残すために自然を大切にする。世界のどこでもルオムの農産物の生産は、公平かつ信頼できる方法で行われている。ルオム農産物の生産に係わっているすべての人間が自然に従う生き方を守っている。

2.ルオム農産物は、新鮮でクリーンである。

ルオム食品には化学的に作られている食品添加物が使われてない。添加物にアレルギーのある人間にとっても安全である。

3.ルオム農産物は味がおいしい。

ルオム農産物は自然の力で育つため味も自然である。たとえば、ルオムトマトは慣行農業のトマトよりゆっくり育つので、糖分が多くなり味が柔らかく美味しくなる。またルオムの餌で育った牛肉は質と味が優れている。

4.ルオム農産物を栽培する土は健全である。

土づくりのための有機肥料には完熟された緑肥料と家畜の糞尿が使われている。

5.ルオム栽培がフィンランドの湖を守っている。

ルオム栽培では慣行農業より水資源への負担が軽い。

6.ルオム家畜の飼育は自然な環境で育てられている。

ルオム家畜は紐でつながれていない。冬でも外で自由に動くことができる。ルオム子牛は生後3ヶ月間、母牛の牛乳を飲んでいる。

7.ルオム家畜はルオム餌を食べている。

餌は最低60%がルオム餌でなければならない。家畜によってルオム餌が80-100%を示している。ルオム餌にはGMO(遺伝子組換作物)が許されていない。

8.ルオム食品は健康によい。

ルオム食品の栄養分は豊かである。それは健康に対する影響の科学的研究が以前よりも進んでいることが明らかになってきた。

9.ルオム農地は生物多様性が豊かである。

ルオム農地では慣行農業の畑より動植物の種類と量が豊かである。

10.ルオム農地は農薬などが使われていない。

農薬・化学肥料が全く使われてないので、ルオムには残留農薬の心配がない。病害虫予防には、バイオ農薬・天敵利用・輪作などによって管理されている。雑草を抑えるために、たとえば草を機械で土にすきこむ方法などがある。GMOを認めない主な理由は、その自然と人間に対する影響がまだ未知だからである。

11.ルオム農地の生産物は産地が明記されている。


フィンランドのルオム食品;固パン、コーヒー、ライ麦粉

ルオム食品はどこで生産されたかがはっきりと分かっている。トレーサビリティ(生産履歴管理)がしっかりしているので、安心して食べることができる。そのための認証制度が確立されているわけである。

12.ルオム食品を買う人は、自分の行動が自己の健康に良いだけでなく、自然の健康にも貢献できるものと心得ている。

フィンランド人がなぜルオム食品を選ぶのかが以上のような理由で明らかされています。私にとっても、ルオム食品を食べ、ルオム生活を推進することの根拠がこれと同じです。それらが自然に従う生き方とともに病気にならない秘訣の一つだと信じているからです。
 

数値でみるフィンランドのルオム農法の実情

 ― ルオム農地面積は全体農地面積の7%を占めている。(日本では1%未満!)
 ― ルオム農家の平均的規模は38ヘクタール、慣行農業より10%大きい。
 ― ルオム農家の平均年齢は慣行農家より2年ほど若い。
 ― 消費者ではルオム商品を時々購入する人が過半数を占めている。
 ― ルオム農産物の売り上げは毎年10%ほど増えている。

日本で積極的に有機農産物を利用している人の動機は何でしょうか?

フィンランドのような12の理由を意識的に考えている人は少ないかもしれませんが、大きく分ければ少なくとも次の二つの理由を挙げることができます。ルオム農産物が健康によいのと同時に環境にも優しい農業だからです。

我が家の食事も農産物のほとんどをルオムが占めています。自宅の家庭菜園でとれた野菜に加え、近隣のコープ商店や「パル・システム」から注文購入をしています。それらの多くが有機マークなしでも厳しく選ばれた自然の力で育てられたものばかりだからです。主食にはもちろん有機玄米を食べています。


有機農業推進議員連盟の会合(国会委員会内)

参議院議員を12年間務めたとき、私は自分に与えられた使命として有機農業の推進に懸命に取り組みました。日本の国政レベルでは有機農業が全くないがしろにされていると知ったからです。

「有機農業推進法」作成の挑戦を第一歩として、同僚の議員たちを募って超党派の「有機農業推進議員連盟」を2004年の秋に立ち上げ、最大議員数時には170名の仲間と共に進めていきました。

法案作りの準備に2年間をかけ、2006年12月に「有機農業の推進に関する法律」」の成立を果たしました。この法律ができたお陰で行政も国レベルや地方レベルで有機農業の推進に取りかかることになったのです。

この法律を生むためだけにでも、元外国人の私が日本で国会議員になった意義があったと誇りに思っています。隠居生活に入った今もはや国政レベルの有機農業推進に取り組むことはなく、もっぱら我が家の菜園でルオム農産物の生産に励む日々です。

願わくはこの日本でもフィンランドと同様に、自然と人間の健康のため有機農業に本気に取り組んでいただきたい。有機農業こそが本来の普通の農業であると思うからです。

 隠遁者 ツルネン マルテイ

第2回 頭脳の活性化がボケ防止になる

認知症予防には、健康な生活習慣を続けることが大きな役割を果たしていることが最近の研究で分かってきました。健全な食習慣、適切な運動、充分な睡眠を取ることが大切だと言われています。さらに知的行動習慣も極めて大切です。今回は私が実施している頭脳の活性化手段を紹介したいと思います。

1.瞑想する

寺で座禅を組んで瞑想したこともありますが、最近では自宅の書斎で椅子に座りロウソクの光を見つめながら無心になる、つまり心の動きも停止する状態で10分間過ごします。時には呼吸運動もそれに加えます。まず息を3秒間で吸入し、2秒息を止めてから吐き出す。これを5分間繰り返します。この呼吸練習をNHKのテレビで最近学んだのですが、やってみると瞑想にも効果があるとわかりました。朝、書斎に入って原稿書き又は本を読み始める前に瞑想によって集中力を高めるのです。

キャンプするとき森や湖の畔で1時間も瞑想することもあります。その時の瞑想には「森の癒し」も加わって効果はさらに大きくなります。

2.ゲームをする

若いときから私はチェスが大好きで、これも脳の訓練に効果があると信じています。
現役時代にチェスをやる時間はほとんど無かったのですが、隠居生活に入ってからは息子と時々やっています。レベルもほとんど同じなので勝ったり負けたりですが、一ゲームを1時間ほども楽しむことができます。

家族マージャンも妻と息子夫婦の四人で楽しみます。勝ちには偶然性もあり点数で負けても、次には勝てるかもしれないと期待できる魅力満点のゲームです。それでも何よりも大切なことが家族で楽しむということです。ダーツ(投げ矢遊び)もやはり家族ぐるみで行います。ゲームは悩みや難しいことを考えずに、仲間と一緒にリラックスできる効果と同時に脳の活性化にも役立っています。

3.家庭菜園で有機農法の野菜を育てる

この方法は妻と私にとって、自然とともに生きることのもっとも大切で代表的な手段です。それほど広くない自宅の20坪ほどの庭ですが、温暖な鎌倉では1年中いろいろな野菜が育ちます。妻との仕事分担も自然に分かれています。耕すことと種を蒔くことが私の主な仕事。間引きや収獲そして料理が妻の役割です。台所からの残飯もEMボカシで発酵させ堆肥として利用します。

4.悟りを求めて巡礼をする

国会議員をしていた10年ほど前に、私が自分の果たすべき使命を確認するために1200kmの巡礼旅をしました。四国には一千年の歴史を持つ巡礼の遍路コースがあります。遍路中に悟りを開いたり、問題の解決策を見つけたり、生きることの意義を再発見した人がいる、と本で読んだことがありました。そこで妻に「歩き遍路に出ましょう」と提案すると直ぐに賛同を得ることができました。

1日におよそ20kmを歩くことにしたので合計60日が必要でした。国会の休日を利用して5回に区切って完歩しました。四国遍路八十八ヶ所の寺からは立ち寄った巡礼者のそれぞれへ祝福や守護が授けられます。

1200年前、弘法大師(空海)が悟りの意義を次のように定義しています。「この世のすべてのものを愛する心と、真実を求める心を堅く持って、行動と言葉と心のすべての働きを通じて、真理を悟り、実践する仏の知恵に気づくこと」

私にとって、この巡礼は議員の務めに悟りを求めるという意義があり、また寺への参拝が日本の重要な宗教である仏教の体験学問の場ともなりました。

5.聖地サンティアゴの感謝巡礼

スペインには「カミーノ」と呼ばれるキリスト教の巡礼路があります。全コースが780kmですが、私と妻がその後半路の(スペイン北西部のポンフェラーダ~サンチィエーゴまで)210kmを昨年10月に歩きました。この巡礼では新たな悟りを探ることより、これまでの人生で体験したすべてのことに感謝しながら歩きました。この巡礼で得たことを以下「カミーノガイドブック」にある言葉で表したいと思います。

「人生は巡礼です。歩きながら祈り、祈りながら歩く。永遠を思い考えながら歩き、歩きながら思い考える。神の創造の働きを賛美しながら」
巡礼は心と体の健康のため、信仰を深めるために最高です。

6.ボジティブな気持ち(心の態度・姿勢)を保つ

世の仲は相変わらず暗いニュースで溢れていますが、明るいニュースもたくさんあります。私はテレビを見るときも明るい番組を選ぶようにしています。例えば日本または世界各地の美しい自然を描く番組や、山歩き、トレッキング、街歩きなどです。

テレビで放送される映画なら、トラさんと下町の生活を描いた「男はつらいよ」シリーズをずっと観ました。ドラマですと「刑事コロンボ」のユーモア溢れる演技も大好きです。世界の歴史に名を残した武力なしの挫けない精神で戦った人物。彼らの生涯を描くドキュメント物も好んで観ます。マティン・ルーサー・キング、アウンサンスーチー、ネルソン・マンデラ、マハトマ・カンジーなどです。

読書では小説なら日本と世界の古典文学をよく読みます。iPad(タブレット)にダウンロードすれば、図書館にも行かず、無料でとこでもいつでも読むことができます。近代小説では厳しい環境のなかでも明るく生き抜くことを描く話を好んでいます。

以上がボケ防止に役立つ私の精神の健康を維持する秘訣です。百歳万歳ライターズ倶楽部に会員登録して、エネルギッシュに活動するのも良い方法だと思います。少しでも皆さまのご参考になれば幸いです。

 隠遁者 ツルネン マルテイ

次回(連載3回目)は「フィンランド人がルオム農産物を選ぶ12の理由」をお届けする予定です。

第1回 自然とともに生きる! ルオム的生活のすすめ

「ルオム」とは自然とともに生きる健全な生き方のこと

ルオムluomuとはフィンランド語のLuonnonmukainenという言葉の略語で、「自然の法則に従った」という意味を表します。従ってフィンランドでluomuと言えば、自然農法(有機農業)、有機農産物、自然に従う生活を意味します。つまりルオム的生活とは自然とともに生きる健全な生き方のことをいうのです。

「健全な生き方」がどのような「理想の生き方」であるかということは誰もが自然に知っています。食べ過ぎ飲み過ぎ、運動不足、睡眠不足では健康を保つことができないと分かっています。それでも、生き方を改めることは「言うは易く行うは難し」です。

健全な生き方の知恵は昔から知られていました。「腹八分目」、「早寝早起き」、「健全なる精神は健全なる身体に宿る」などの諺がよく使われます。またテレビやインターネットなどでも病気にならない生き方を頻繁に報道しています。それなのに、その教えに従うことがいったいどうして困難なのでしょうか。

ツルネンさん

実は、私自身のライフスタイルも20年ほど前までは健康的だったとは言えません。食べ過ぎ、飲み過ぎ、タバコ、睡眠不足などの不節制で健康に赤信号が現れました。高血圧と痛風の初期病状がこの誤った生活習慣によって起こったのです。精神的なストレスも加わりました。生きがいとなる目標を見失っていたからだと思います。

幸い私はこの赤信号を目前にして、自分の使命とそれに伴う人生の目的を奇跡的に発見することができました。それが私の場合、日本の政界に入ることでした。同じころ支持者たちの中にも有機的生き方や有機農法に取り組んでいる人々がいました。彼らのアドバイスも受けてライフスタイルをより健全なものに改めることができたお陰で、心身の健康を回復し元気を取り戻すことができました。今自分の道を振り返ったとき、これらのすべてが神様からの導きであったと信じます。また妻のサポートも大きかったといえます。彼女は料理が好きで達人でもあったので、いとも簡単に食事の内容をもっと健康的なものに替えることができたのです。

このエッセイシリーズで、これから皆さまに私の「ルオム的生活」の参考例を少しずつ紹介していくことになりました。第一回目は「私の健全なる心身の秘訣」について、一日のスケジュールを描きながら明らかにしていきましょう。

コーヒーを飲み終えると「朝の準備運動」を始めます

2016年3月、鎌倉郊外にある我が家で普段の一日が始まります。8時間の良眠後、早朝5時に目覚めます。洗顔、髭剃りを済ませコーヒーを作ります。有機栽培のコーヒー豆を妻と自分用に1杯分ずつ挽きます。

新聞に目を通しながらコーヒーを呑み終えると「朝の準備運動」を始めます。まず肩と腕の筋肉トレーニングのために、軽いダンベルの持ち上げ運動と“ブルワーカー”(Bullworker)で体をほぐします。次に腰のトレーニングに入ります。床で仰向けや横向きになり足を交互に床から持ち上げ10回繰り返します。以前医者に腰痛の相談をした時この方法を教わり、このトレーニングが優れた方法であることが分かりました。腰の痛みが全く消え、膝の動きも柔軟になっています。最後のぶら下がり運動が朝の室内運動の仕上げです。

ツルネンさんと奥さん

そのあと妻と二人で近隣の静かな街路に30分間の朝ウォーキングに出かけます。ウォーキングのあと妻が朝食を作ります。メニューは有機の玄米ご飯、豆腐の味噌汁、納豆や魚。そして我が家の菜園で獲れた有機野菜などです。水も毎回食事の1時間前に500ccずつ飲みます。一日に2リットルの水を飲むようにしています。アルコール飲料は飲み過ぎないことを心がけています。このような生活習慣の改善で今は心身の健康を享受しています。

日課として午前中は原稿書きやタブレットにダウンロードした本を読むことに専念します。昼食後毎日30分間の昼寝をします。その後は家庭菜園の手入れをしたり、妻と息子と3人でマージャンゲームを楽しんだりします。(息子は昨年病気をわずらい現在すでに回復しましたが、仕事はまだ午前中しかやっていません)

3時ごろから妻と二人でサウナ前の午後のウォーキングに出かけます。近くの川沿い、海辺や公園などにいくつかのウォーキングコースがあります。ウォーキングストックを使って1‐2時間(毎日平均5~6㎞)歩きます。ウォーキング中私たちはあまりしゃべらず、それぞれが自分の考えに耽って歩きます。妻の考えは推測しませんが、私の思考は多くが過ぎ去った人生、とくに議員としての日々の中をさまよったりします。そして時々、私の人生に起こったことがあまりにも奇跡的で、全てが夢で現実とは思えない事のように思うことがあります。歩きながらそんな過去を振り返っている時、私の心は深い平安と感謝の気持ちに満たされていくのです。

ウォーキングとサウナで病気知らずの毎日

ウォーキングから帰宅するとすぐに我が家の電気サウナを温めます。サウナ室に隣接した浴室のバスタブに冷たい水をいっぱいに張ります。フィンランドの森の湖の代わりをしてくれるのです。サウナからバスタブの水中に10秒ほど浸かることを2-3回繰り返し、着替え室でひと休みをしながら、サウナストーブで焼き上げたホクホクの焼芋をつまみにコップ一杯のビールを妻と二人で楽しみます。

サウナでは“ワスタ(白樺の葉付き小枝の束)”を使います。交替で仰向けやうつ向けになった裸の体を互いに “ワスタ”で叩きます。血液の循環を高めマッサージ効果も得られます。“ワスタ”はフィンランドから親友が送ってくれます。友人は私たちのために1年分40個のワスタを白樺の若葉が出揃う初夏に作り、秋まで乾燥させてから郵送するのです。我々は一束のワスタを10回ほど大切に使います。使用後サウナ室で乾かし次の日にまた水に浸して枝を柔らかくします。

このようなライフスタイルで病気知らずの毎日を過ごしています。悩みや恐れが今の私には何一つありません。充実した毎日です。死も恐れていませんが、最後まで健康で寝たきりにならないようにと祈っています。

このような生き方は年齢や生活環境を問わずどなたにもお勧めすることができます。人間関係に於いては、「何事でも人々からして欲しいと望むことは人々にもそのとおりにせよ」というイエスの教えを言動の指針にしています。このルールに従えさえすればどなたでも心安らかに仲良く暮らすことができると信じています。

 隠遁者 ツルネンマルテイより