医師が勧めるスマート・エイジングの肉体改造

スマート(賢く)にエイジング(加齢)していくための知恵

スマート・エイジング――恐らく、多くの人にとって聞き慣れない言葉ではないでしょうか。
一方、似た言葉として“アンチ・エイジング”という言葉があります。こちらは有名です。

アンチ・エイジングとは、要するに若返るために様々な努力を重ねること。ではスマート・エイジングとは。
それを考えるためには、そもそも“エイジング”という言葉の意味を理解しなければなりません。
エイジングは“加齢”という意味であり、これからするとアンチ・エイジングは「加齢を否定する」という意味になります。
ではスマート・エイジングになれば「賢く加齢する」。こういった意味になるのです。

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そう、スマート・エイジングとは人間の身体の流れに逆らうことなく、自然と優雅に年を重ねていくこと。そういったライフスタイルをスマート・エイジングと言うのです。

「年を取るものはしょうがない。でも、だったらせめてスマートにいきたい」。
今そういう風に考えているシニア世代が増えています。
では、スマート・エイジングを進めるにはどうすればいいのでしょうか。
そこには、医師も勧める“スマートな”肉体改造がありました。

「こころ」と「身体」の関係

私たちの生活の質を考えたときに、何歳であったとしても生活を支えているのが心身の健康そのものであることには誰も異論はないでしょう。スマート・エイジングを実現するには「こころ」も「身体」も元気であり続けなければいけません。
「こころ」と「身体」の間には密接な関係があり、こころが身体に影響を及ぼす、逆に身体がこころに影響を及ぼすことはよく知られていますし、皆さんも日々の生活で実感されているのではないでしょうか。

「こころ」のあり方が「身体」の健康に対して如何に重大な影響を与えるのか、類推できる医学データが存在します。1990年にワトソン博士らは『ランセット』という一流の医学雑誌に、初期の乳がん患者の5年生存率に関する論文を発表しています。それによりますと、彼らは同じような病期(がんの進行度)の患者さんたちにがん告知したとき、どのように患者さんがそれを受け止めたのかによって患者さんたちを二群に分けました。そしてその後の経過を解析したのです。

一群の患者さんたちは、病と闘うという意欲を示した人たちでした。
もう一群は、病であることを素直に受け止め、いわば諦めてしまった人たちです。二群すべての患者さんに全く同じ治療が施されたのにもかかわらず、結果は病と闘う意欲を示した患者さんたちの群の方が、病を受け入れた群よりも5年後の生存率が7~8%も高かったのです。

これは驚くべき結果でありますが、スマート・エイジングも同じようなことが言えます。
老い、加齢をただ受け止めるのではなく、“賢く乗り切る”。そこには相当なこころの強さが求められます。

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とは言っても、実際に何をして良いのか分からない。そういった方もきっと多いでしょう。
実はスマート・エイジングを考えるに当たって、もっとも大切なのは運動。
もっと言えば肉体改造なのです。

老いるにしたがい、肉体は素直に変化していきます。それにあらがおうとすると、それこそ血の滲むような思いをしなければなりません。

そうではなく、あくまでスマートに肉体を改造する方法があるのです。

スマート・エイジングの肉体改造法

誰もがいつまでも元気に、健やかに過ごしたいと願っています。そのために人によっては、ハードなトレーニングを積んでいる方もいらっしゃるでしょう。
しかしここで考えるのは「スマート・エイジング」、賢く優雅な加齢です。
必要以上の運動もトレーニングもいらない、最低限の肉体改造。ここでは実際に医師から聞いた二つの「スマート・エイジングの肉体改造法」をお教えします。

その1 有酸素運動をする

まずなによりも大事なのは、有酸素運動をすることです。なぜなら、有酸素運動によって血中の脂肪を燃やせるので、糖尿病や脂質異常症の予防に有効なのです。

では有酸素運動とは具体的に何を言うのでしょうか。一番手軽なのはウォーキング、歩くことです。一日30分程度でも大丈夫です。特にこれと言った道具も必要なく、手軽に行えます。ゆっくりジョギングするのもいいですし、水泳もいいでしょう。ただし、水泳の場合は極力ゆっくり泳いでください。速く泳ぐと有酸素運動ではなくなります。

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有酸素運動というのは、身体の中に酸素を取り込んで脂肪を燃焼し、二酸化炭素と水に分解するプロセスのことを言います。そのときに必要なのが心拍数です。心拍数がおおむね100~110くらいのときが、脂肪が一番燃えやすいのです。
なので、ハイペースでクロールなどをしてしまうと、有酸素運動ではなく無酸素運動になってしまう可能性があります。心肺機能を高めるにはいいのですが、脂肪はあまり燃えてくれません。
特に加齢によって体力の衰えもありますから、ハイペースで運動する必要は全くありません。あくまでスマートに、ゆっくりとリズミカルに運動をするのが大切です。

その2 筋力トレーニングを行う

私たちの身体は、普通に生活をしているだけですと年齢と共に筋肉がどんどん落ちていきます。身体の筋肉量を20代が100%とすると、60代ではほぼ60%、70代ではほぼ50%になるというデータもあるのです。

また、上半身よりも下半身の方が筋肉は落ちやすく、男性よりも女性の方が落ちやすいのです。なのである程度意識をして筋トレを行わないと、特に女性は年を取るにつれて下半身細りになります。細くなるのなら嬉しい、とお思いかもしれませんが、体重が同じで筋肉が半分になったのですから、半分の筋肉で今までの体重を支えなければなりません。そうすると、転倒による骨折などのリスクがぐんと上がってしまうのです。

先ほどはウォーキングがいいと書きましたが、ウォーキングではあまり筋肉はつきません。

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年を取った方が筋トレを自力で行うには限度がありますので、ぜひ一度ご自宅の近くにあるジムに行かれることをお勧めします。1日の無料体験でもいいので、自分に合うジムをぜひ見つけてください。スタッフが指導を行ってくれるところがいいでしょう。

身体は意外と素直に反応してくれるものです。何歳からでも筋肉はつきますし、逆に何歳からでも怠惰な生活では太ってしまいます。
高齢になってからの筋肉量は、そのまま日々の生活の便利さに直結します。ちょっとした腰を沈めるだけの動作、階段の上り下り、すべてに筋肉を使うからです。
ぜひ、ご自分の生活にジムを取り入れてみてください。毎日でなくとも、週に2-3回で構いません。習慣的に筋力トレーニングを行うことが大切なのです。

いかがでしょうか。
皆さんがスマート(賢く)にエイジング(加齢)していくための方法は、皆さん自身にかかっています。

若い頃の肉体や元気というのは、いわば初めて咲いた花です。その花は美しく、誰もが振り返って見ることでしょう。しかしそんな花もいつかは枯れてしまいます。枯れたことで、花自身も嘆き、悲しみます。そこで諦めたら、根まで枯れてしまうかもしれません。枯れたのはあくまで花弁。根であるあなたの「こころ」が枯れない限り、花はまた咲くのです。

あなたという花が何度も何度も咲く手助けに、この記事がなれたのなら幸いです。